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キッティングという言葉を耳にしたことはありますか?基本的には、業務用に購入され従業員に支給されるパソコン、スマートフォン、タブレットといった端末には必ず行われているキッティング。
セットアップと混同されることもあるキッティングですが、前者がソフトフェアおよびハードウェアをこれから新しく使用するにあたって必要となる最低限の設定を指すのに対して、キッティングは、新しく導入された端末を業務上問題なく使用できる状態にまで整備するために必要な(セットアップも含めた)一連の作業を指しています。
一言にキッティングといっても、業種あるいは端末の種類によって具体的な内容は大きく異なり、例えばパソコンであれば
といった作業が、スマートフォンであれば
といった作業がキッティングに相当する作業となります。
新しく端末を導入する際には、必ず必要となるキッティング。そんなキッティング作業に関して、大きな躓きの石となるのが、作業の膨大さと煩雑さ。例えば、100台のスマートフォンを購入した場合、100台の端末にキッティングが必要となりますが、基本的には、キッティング作業は社内で行わなければならず、代理店などが作業を負担してくれることは一般的ではありません。
キッティングの方法としては、一台一台「手作業」で行う方法と、一台のマスター端末から「クローニング」する方法があります。しかし、いずれの方法で行うにしろ、膨大な労力が必要となります。手作業でキッティングを行う場合の負担の大きさは言わずもがな。そして、クローニングを使用する場合にも、一度マスター端末を制作してしまえば作業は比較的ラクなものになるとはいえ、マスター端末を制作するために高度な技術力および知識が必要となる上に、約一ヶ月程度の時間が必要となります。
また、導入する端末の機種がそれぞれ異なる場合には、そもそも、クローニングを使用することはできません。手動でのキッティング、およびクローニングでのキッティングのメリット・デメリットおおまかにまとめると以下のようになります。
手作業 | クローニング | |
メリット |
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デメリット |
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キッティングは業務を適正にスタートさせたり再開させたりする上で欠かせない作業であるからこそ、正しく実行して安全に完了しなければなりません。しかしキッティング作業では想定通りに作業が進まなくなってしまうポイントもあり、あらかじめ注意すべき内容を把握しておくことが必要です。
キッティング作業は業務に使用する全ての端末に対して実行しなければなりません。そのため、必然的に対応すべき端末が増えたり設定内容が煩雑化したりすれば、キッティング作業の負担も増大します。
キッティング作業が完了するまで安心してその端末を業務に利用することはできなくなる上、安全管理やセキュリティ対策としても重要性がある作業だからこそ、作業担当者の負担を軽減して、効率的かつ信頼できるキッティング作業を進めていくための取り組みが大切です。
キッティング作業の対象を把握し、どのような手順を取るべきかフローを明確化しておきましょう。
キッティング作業を効率化するために、マスターPCを作った上でクローニングにより端末を調整していくといった方法もあります。しかし、ソフトやアプリケーションを丸ごとコピーしてしまうと、製品の複製に該当してライセンス違反や著作権違反になってしまう恐れもあります。
そのため、クローニングやデータコピーに関しては、必ず法的に適正な手順を守るようにしてください。なお、ライセンス違反がサービス提供元に知られれば、そもそもシステムやサービスの利用が禁止されてキッティング作業が行えなくなるリスクもあります。
キッティング作業を適正かつ迅速に完了して、少しでもスムーズに通常業務をスタートできるように、キッティング作業を効率化することも重要です。ここではキッティング作業の効率化を考えるメリットや重要性についてまとめました。
キッティング作業は個々の従業員が自由に行って良いものでなく、厳格な手順とルールにもとづいて実行されるべき業務です。そのため、キッティング作業ではあらかじめ作業担当者や責任者を明確にしておき、情報セキュリティについて信頼できる人物が作業を担当しなければなりません。
そのため、少しでもキッティング作業を効率化して作業担当者の負担を軽減することは、作業スピードを速めるだけでなく、システムの安全性を保つ上でも必要な内容です。
また、異なる部門や部署、拠点において別の作業担当者がキッティング作業を行う場合、全ての場所で同じ内容や品質を維持できるようにキッティング作業の作業フローやマニュアルを作成しておくといった工夫も大切です。
キッティング作業を効率化することで、設定完了後の端末やアプリケーションについて品質や設定内容を均一化し、全ての端末や業務拠点で同じサービスを提供できる環境を整えやすくなります。
キッティング作業の本質は業務を行うための環境を構築することであり、企業としてサービス品質を維持するために必要な端末設定などを正しく再現することが欠かせません。
キッティング作業を効率的に行えるよう対策することで、複雑な設定でも適正に再現して、企業としての信頼の基盤を構築するために役立ちます。
キッティング作業を効率化することが重要になる反面、効率化を妨げる要因も存在しています。キッティング作業におけるリスクやデメリットを理解して、スムーズな作業環境や作業体制を目指していきましょう。
キッティングではハードウェア管理やアプリケーション管理、ネットワーク管理など複数の項目について作業しなければならないこともあり、それぞれに専門の担当者や責任者を配置することもあります。しかし、各担当者や作業部門がどのような役割を担っているのか理解していなかったり、作業手順がきちんとマニュアル化されて共有されていなかったりすれば、結果的に作業が混乱して全体の工程がスローダウンしてしまいかねません。
キッティング作業について何を行い、どのような作業をどんな手順で進めるのか、あらかじめ適切にまとめた上で作業担当者と情報共有することが肝要です。
キッティングは相応の手間がかかる上、一度始めれば完了するまで業務が停滞してしまう可能性のある作業です。そのため、普段はなかなかキッティング作業を行わず、年に一度や数年ごとにバージョンアップやアップデート、アップグレードなどをまとめて行うといった企業も少なくないでしょう。
しかし作業頻度が少なくなると、一度の作業で対応しなければならない項目が増大し、結果的に作業効率が悪化して長期のロスが発生してしまうといった状況を導きかねません。
そのため可能な範囲でキッティング作業の頻度を維持することが重要です。
キッティングは作業の間隔が長くなり、次の作業を行うまでの間にパソコンが買い替えられていたり、新しい設備が追加・導入されていたりといった可能性も考えられます。そのため、状況によってはキッティング作業の手順が端末ごとに違っていたり、機種やバージョンに合わせた更新手順を確認したりしなければならないかこともあるでしょう。
異なる作業手順が混在していることは、作業効率を悪化させて進捗の遅れを引き起こすだけでなく、設定品質の不均一化といったリスクにもつながります。
端末やアプリケーションが新しくなっているだけでなく、作業担当者が入れ替わったり新人が担当者として参加したりといった場合も想定されます。
しかし、キッティング作業のフローやマニュアルについてきちんと情報共有されていない場合、一から情報や手順をすり合わさねばならないため、作業効率が著しく低下してしまうかもしれません。
膨大な労力が必要となるキッティング。では、キッティング作業の効率をより高め、負担をできるだけ軽減するためには、どうすればよいのでしょうか?
もしも予算が許す場合には、キッティング作業をアウトーソシングしてもよいでしょう。しかし、導入予定の端末の数があまりにも多く、キッティング作業のアウトーソシングが現実的ではない場合などには、MDMツールの活用がおすすめです。
MDMツールを使用することで、必要なアプリケーションのインストールおよび各種設定などを、一斉に適用することができます。また、MDMツールを活用することで、キッティング後に追加でアプリケーションのインストールが必要になった場合や、設定の変更が必要なった場合にも、柔軟に対応することができるようになります。
加えて、MDMツールを活用すれば、「指定したアプリ以外を使用できないようにする」、「アクセスできるサイトの設定をする」、「端末が紛失および盗難した場合に備えてロック機能を有効にする」といった、セキュリティをより堅牢なものにするたの設定も同時に新しい端末に一斉に適用することができます。したがって、キッティング作業をアウトーソシングする場合であっても、MDMをツールを活用することで得られるメリットは決して少なくないと言えるでしょう。
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※2018年度、エンドポイント管理史上のマーケティング分析(株式会社テクノ・システムリサーチ社)より
参照:mobiconnect公式HP(https://www.mobi-connect.net/)